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平成25年度 卒業式 式辞

平成26年3月1日に卒業式が行われました。


平成25年度 卒業式 式辞

式 辞

先月の記録的な大雪と寒さが続いておりましたが、春の気配を感ずる頃となりました。本日は、日頃、大変お世話になっております、多くのご来賓の方々を初め、保護者の皆様、公私共にご多用の中、第86回卒業証書授与式にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。今日、ここに、卒業生の皆さんと千葉敬愛高校でフィナーレを迎える時となりました。卒業生の皆さん、皆さんは3年間の努力が実を結び、めでたく卒業式を迎えることが出来ました。おめでとうございます。特に3年間、雨の日も風の日も1日も欠席する事無く、頑張った46名の生徒の皆さんには、改めて敬意を表します。

 さて、思い起こせば、三年前、東日本大震災3、11を体験し、不安の中で入学式を迎えた皆さんでしたが、高校生活に夢と希望を持ち、多くの仲間達と「体育祭」や「球技大会」・「敬愛祭」・「シドニーの修学旅行」など、沢山の楽しい思い出を、作ることが出来のではないでしょか。今日は、卒業式に当たり、皆さんに、私の願いを2つ述べることに致します。それは、やはり本校が私立学園として建学の精神「敬天愛人」の基で全人教育を行っていると言うことです。「天を敬い、人を愛する」という教えです。この「天」とは、天地・自然・宇宙です。

「天」を敬するとは、天地・宇宙の中で人間の存在は「チリ・あくた」にも等しい取るに、たらない小さな存在である事を自覚し、常に謙虚で、自分自身に厳しくしなさいと言うことです。あの、3,11の大震災を体験した日本人は天地・宇宙の法則と秩序を敬し、偉大な力によって生かされているという謙虚な姿勢が、求められています。「愛人」とは、文字道理、隣の人を愛すると言うことです。「日常の生活を通して感謝の心と思いやり、助け合いの心を持った人間になりなさい」と言う教えです。この世に「命」を受けた事、周りの人々によって、自分が、支えられ、生かされている事への感謝と人に対する、思いやり、助け合い、敬愛する事です。この「心」の教育を本校では、大切にしながら、あらゆる場面に於いて「敬天愛人」の思いを実践できる、人間になるよう期待し、生徒の皆さんに指導と助言を行ってきました。

卒業生皆さんの世代は、日本と世界を支える大きな責任があります。ひとり一人の力は小さくても、知恵と力を合わせることによって、世界平和を達成することができます。今の世界は、まだ、まだ、紛争と対立を繰り返していますが、この課題は武力や暴力では解決できません。

私達は先ず、「敬天愛人」の宇宙の法則と言う大きな視点から、物事をとらえ、判断していかなければなりません。つまり、グローバルな立場から、それぞれの国や地域や自然環境を舞台に生活している「かけがえのない、地球家族の一員として」私たち人類は生きていかなければならないという事です。
どうか、卒業生の皆さん、これからも、変わることのない、普遍の真理「敬天愛人」の精神、敬愛スピリットを日々の生活信条として、心、豊かな、人生を送って、頂きたい。

二つ目のお願いは、皆さんは一昨年12月にノーベル生理学・医学賞を受賞された京都大学の山中信也教授を覚えているでしょうか。この輝かしい受賞のニュースは日本中を明るくしてくれました。  今年になって、新たにステップ細胞を発見した小保方晴子さんが話題になっておりますが、山中教授のお話です。山中教授は、高校時代はお父さんに医師になることを勧められていましたが、将来の進路を迷っていました。そのような時に一冊の本と出会いました。 その本は「命だけは平等だ」を読み、感銘を受けて医師になることを決意しました。中学時代には生徒会、副会長を務め、柔道をやり、大学2年生まで続け、高校時代に柔道2段を取得しました。

学生時代は、柔道やラグビーで10回以上骨折するなどケガが日常茶飯事であったこともあり、整形外科医の道を選びました。 しかし、他の医師が20分で終わる手術に2時間ほどの時間が掛かったり、点滴に失敗するなど、したために、 指導の医師からは、お前は、「山中」ではなく「じゃま中」と怒鳴られ邪魔者扱いされたそうです。
「じゃま中」と呼ばれる度に、小さくなって、自信をなくし何度も仕事を変えようと思ったほど「この仕事は自分には向いていない」と痛感したそうです。 ある日、重症になったリュウマチの女性患者を担当し、患者の全身の関節が変形した姿を見てショックを受け、重症患者を救う手立てを研究するために研究者を志すようになったとのことです。山中教授にとって整形外科医の挫折が、研究医になって、一人でも多くの難病患者を救いたいと考えるようになりました。 そして、万能細胞と呼ばれるIPS細胞の研究に繋がったのです。 人は、何かしらの挫折を味わいながら、なにかしらの高みに達するものです。挫折を乗り越えるからこそ、成長するのです。

これから皆さんは、今まで以上に様々な人との出会いがあり、様々な経験をすると思います。この先、心の底から喜びを感じる時もあるでしょうが、逆に幾度となく挫折を味わうこともあるでしょう。
その経験の一つ一つが、皆さんを大きく成長させます。山中教授は、次のように言っています。
「1度や2度の挫折で、くじける若者で
あって欲しくない。失敗すればするほど幸運は訪れるもの。若い間に、いっぱい失敗して挫折を味わって下さい」と、この言葉は自分を信じて、強い心を持って一歩一歩前に進む
ことの大切さを訴えている言葉であると私は思いました。
これから先、皆さんにとっても、挫折を味わうことは、無駄なことではありません。むしろ、挫折は次の大きな飛躍、ステップの準備でもあります。
どうか、卒業生の皆さん頑張ってください。

最後になりましが、本日、ご列席を頂きました、保護者の皆様、来賓の方々に重ねてお礼を申し上げますと共に、今日まで本校の教育振興に寄せられました暖かい、ご理解とご協力に対して、厚く御礼申し上げます。

卒業生の皆さん、いよいよお別れの時が来ました。今日まで、見守って下さったご家族皆さんの深い愛情と先生方の教えや共に過ごした仲間との友情を大切に、本校の伝統と歴史を継承する同窓生の一人として、「自信」と「誇り」をもって、世の為、人の為に活躍して下さい。

卒業生、皆さんの限りない前途を祝福し、私からの贈る言葉と致します。
本日は誠におめでとうございます。

平成26年3月1日
千葉敬愛高等学校
校長 北原文成
平成25年度卒業生一同 様